ベトナム人の仕事観や雇用する上での注意点まとめ/ベトナム語の外食用教育テキスト付

ベトナム人の仕事観や雇用する上での注意点まとめ/ベトナム語の外食用教育テキスト付

厚生労働省による2018年10月末の外国人国籍別の労働者数調査を見ると、ベトナム人労働者の伸び率は非常に高く、前年比31.9%となりました。1位の中国人に次いで、ベトナム人は2位の労働者は316,840人となっています。

あなたの身の回りでも増えているベトナム人労働者、彼らの母国はどのような国で、どのような仕事観を持ち、なぜ日本に来ているのか…その背景を探りました。

2019年7月5日更新



News-『ベトナムとの在留資格「特定技能」を有する外国人に係る制度の適正な運用のための基本的枠組みに関する協力覚書(MOC)の交換がされた』

安倍晋三内閣総理大臣及びグエン・スアン・フック首相立ち合いのもと、山下貴司法務大臣とダオ・ゴック・ズン労働・傷病兵・社会問題大臣との間で、在留資格「特定技能」を有する外国人に係る制度の適正な運用のための基本的枠組みに関する協力覚書の交換が行われました。

(2019年7月1日 外務省報道発表より)

この在留資格「特定技能」を有する外国人に係る制度の適正な運用のための基本的枠組みに関する協力覚書は、特定技能を利用して日本で働くベトナム人を適正に受入れ、受入れに関する課題を解決していくために設けられたものです。

外務省は、国内関係省庁と連携を図りながら、特定技能の正しい運用のもとベトナムと日本の相互利益を追求し関係を強化していく方針だと発表しました。

 

外食・特定技能/ベトナム語表記の外食業技能測定試験学習用テキスト

一般社団法人の日本フードサービス協会では、2019年4月に新設された特定技能の中の、外食分野に関する技能試験回りの取りまとめをしています。

この外食業技能測定試験の学習テキストを一般公開しています。

試験は本テキスト内から出題されており、日本語の教材の他にベトナム語で表記されたテキストが用意されているので、下記PDFをご確認ください。

■ベトナム語テキスト

接客全般

飲食物調理

衛生管理

あわせて日本語版のテキストもご確認ください。

■日本語版『外食業技能測定試験』学習用テキスト

接客全般

飲食物調理

衛生管理


日本で働くベトナム人に人気の業界は?

ベトナム、ホイアンの街並み

ベトナム、ホイアンの街並み

2018年度、過去最高値となった外国人労働者数。その中でも圧倒的な伸び率だったのがベトナム国籍の人たちです。

ベトナム人は日本国内で、どのような業種に就いているのでしょうか?


業種別で見るベトナム人労働者

  1. 製造業 11万5223人

  2. 宿泊業・飲食サービス 5万0427人

  3. サービス業 4万0556人

  4. 卸売業・小売業 3万4773人

  5. 建設業 3万1949人

  6. 情報通信業 3611人

  7. 医療・福祉 2486人

  8. 教育・学習支援業 1518人


技能実習生として製造業に就いているベトナム人が目立ちます。続いて在留資格別に見てみましょう。


在留資格別で見るベトナム人労働者

続いてベトナム人労働者がどのような在留資格で働いているか見てみましょう。


  1. 技能実習 14万2883人

  2. 資格外活動 12万4988人(留学生が12万0739人を占める)

  3. 技術・人文知識・国際業務など専門分野の在留資格(技人国ビザが2万8860人を占める)

  4. 身分系の在留資格 1万2405人

  5. 特定活動 4,570人

  6. その他 15人

ベトナム人は技能実習生と留学生が圧倒的に多いことが分かります。

少し視点を変えて、ベトナムとはどのような国か、経済や文化、仕事観などを見ていきます。




ベトナムってどんな国?

ベトナムの工芸品

ベトナムの工芸品

続いてベトナムの基本情報をご紹介します。※外務省データより抜粋

国名:ベトナム社会主義共和国(Socialist Republic of Viet Nam)

首都:ハノイ(Hanoi)

著名なエリア:中部、ダナン/北部、ホーチミン

面積:32万9,241平方㎞

人口:約9,340万人

民族:キン族(越人)約86%,他に53の少数民族

言語:ベトナム語

宗教:仏教、カトリック、カオダイ教

通貨:ドン(VND)

ベトナムは南北に長いので、北部のハノイと南部のホーチミンで特徴が異なります。

ハノイエリアは近年、おしゃれなカフェが出来たり、日系企業が進出するなど発展が著しいエリアです。

しかし1000年以上の歴史を持つ文化的な都市でもあるので、ベトナムの伝統的な風景と政治的都市の発達が入り混じる魅力的なエリアとなっています。

対して南部のホーチミン(旧名サイゴン)は商業、観光の町として、日本の若い女性が”女子旅”の候補として選ぶことも多い人気スポットです。また、ダナンもリゾートエリアとして観光客に人気です。


農業・林業・水産業に従事する人が6割強

ベトナムでは6割以上の人が、農業や漁業、林業の仕事をしています。

特に、ベトナムコーヒーやカシューナッツ、黒胡麻の生産は世界的にも有名です。

マーケットの成長が期待されているベトナム

ベトナムの市場は非常に大きく、そのマーケットの伸びしろは注目を集めています。

国際協力銀行による「中期的(今後3年程度)有望事業展開先国・地域」では、ベトナムは第4位となっています。(2018年度調査結果より

ベトナム人は安価で優秀な労働力を確保できるという点で、近年注目度が高いと見られています。

日本はベトナムの最大の援助国

外務省データによると、日本はベトナムの最大の経済援助国としての地位を築いています。

2016年のDAC集計データによると、以下の順位でベトナムへ経済協力をしています。

1位 日本

2位 韓国

3位 ドイツ

4位 オーストラリア

5位 フランス

ベトナムの食文化

春巻きフォー

春巻きフォー

ベトナムの食文化は日本と似ている点が多いです。お米を主食とし、おわんとお箸を使い食事をとります。

なんとなく辛い料理、スパイスの効いた料理をイメージする人も多いかもしれませんが、ベトナムはあまり香辛料の効いた料理はありません。

言語もそうですが、ベトナムは中国の影響を受けているので、食文化も中国に由来するものが多いです。

〇ベトナムの代表的なメニュー

米麺のフォー

生春巻き(ゴイクオン)や揚げ春巻き

ベトナムコーヒー

ベトナムでは日本と同じ米文化ですが、朝食は屋台や食堂でフォーと呼ばれるライスヌードルを食べることが多いです。また、薄いライスペーパーで包んだ生春巻きも有名です。

また、南北に長く伸びる地形が影響し、北部と南部では味付けが異なることが特徴です。

ベトナム人の性格は?

ベトナム人は真面目で勤勉?

ベトナム人は真面目で勤勉?

ここからはベトナム人の性格や国民性ついて調べていきます。

先の章で、ベトナムは南北に伸びた地形のため、北部と南部で気候はもちろん文化特徴も異なるとお伝えしました。

ベトナム人の性格も、地域により少し異なると言われています。


北部のハノイは温帯性の性格特徴がある

北部は温帯性の地域であり、日本と似たような気候です。そのため、真面目で勤勉な人が多く、チームワークも重視できる性格が多いと言われています。

真面目で勤勉、手先が器用と言った特徴は日本人にもよく言われる点ですよね。

もちろん個々人の性格の差があるので、必ずしも『ベトナム人は〇〇だ!』とは決めつけられませんが、これらの性格的特徴は日本人と共に働く上ではメリットと言えるかもしれません。


南部のホーチミンはオープンで陽気な人が多い?!

北部のハノイと比較すると、南部はリゾートエリアで開放的な雰囲気が強いです。

そのため、南部に住むベトナム人は比較的オープンで陽気、明るいと言った性格特徴があると言われています。

日本の中でも東京に住む人の性格と、大阪に住む人、沖縄や北海道などの地域に住んでいる人を比べると、地域性や気候に関係する生活スタイルや性格的特徴があると言われます。

東京よりも大阪、沖縄と南に行くほどに、明るく開放的な人が多くなる印象は持ちませんか?

その他の性格的特徴は…?

その他の性格特徴を調べていると、次ような性格が出てきました。

  • プライドが高い

  • 意外とシャイ

  • 仕事選びでは収入を重視する(賃金が高いところへ転職することをいとわない)

  • おしゃべり、笑顔が良い、優しい(親しみやすいの様々な表現)

  • スケジュール管理が苦手

ベトナム人に対して言及している多くのサイトで、プライドが高い点や真面目で勤勉という内容が出てきました。

繰り返しになりますが、性格は千差万別ですので『ベトナム人は〇〇だ』と決定づけられないものの、全体的な傾向としては『ベトナム人はまじめで親しみやすい』というものがあるようです。

また、手先を動かして作る工芸品文化があることから、手先の器用さや集中力があるとも言われており、日本の工場でのライン作業や技術系職種として採用されることも多いです。

ベトナム人が増えた理由

昨今、多くの日本企業がベトナムへ進出し現地法人を立ち上げています。実は、ベトナムの人件費は中国以上に安価であり、産業がまさしく発展途上であることから、多数の国が経済協力・進出をしたいと興味を持っています。

イオンなどのメジャーな日本企業がベトナムにあるので、現地の人々にとって日本ブランド・日本文化が非常に親しみやすくなっていることが要因となり、多くの若者が日本に留学したい!と思うようになったようです。

ベトナム人の留学生は、日本に全体働いているベトナム人全体の4分の1を占めています。それだけ若者が日本に来て学び、日本で就職したいと願っているのです。

2016年には日本語教育が第一言語に

ベトナムの小学校では、2016年から日本語を第一外国語として履修するようになりました。

初等教育中に日本語を学ぶ国は初めてのことであり、それだけ親日化が進んでいることが分かります。

ちなみにベトナムの公用語はベトナム語(キン語、越南語とも呼ばれます)であり、ベトナムの約8割を占めるキン族が用いる言語です。

50以上の民族が入り混じる、多民族国家であるベトナムですが、その大半はキン族であるベトナム語を話しているのです。

歴史的背景からフランス語、ロシア語を話せる方もいますし、英語や中国語が伝わるエリアもありますが、これらの言葉が通じるのは観光エリアなどごく一部です。

ベトナム人を採用する注意点

親日化であるベトナム人と一緒に働く際に、気を付けるべき点をご紹介します。

外国人の雇用に関する労務知識を身につける

これはベトナム人に限ったことではありませんが、外国人を雇用するためには、在留資格の確認や外国人ならではの届出が必要です。

ポイントさえ押さえれば難しいことはありませんが、何も知らずに採用してしまうと不法就労助長罪の罪に問われる可能性が大きくなってしまいます。

ベトナム人と働きたい!と思ったら、まずは次の記事で『外国人雇用に関する基礎的なこと』を理解しましょう。

外国人雇用の注意点/外国人から応募が来たら必ずチェックすべきこと【労務手続きまとめ】


具体的な目標と収入について説明する

ベトナム人は仕事をする上で、給与・待遇面をとても重要視しています。もちろん日本人も収入を気にしますが、ベトナム人の場合はより給与で仕事を選ぶ傾向があります。

すなわち、『日本語検定が〇〇レベルになったら給与を〇〇円にするよ』といった、明確な基準を与えることお、長く雇用する上でのコツとなります。

海外の場合、給与が上がらなかったら転職する、または給与が高い職場を見つけたから転職をするという発想で働いている人も多くいます。


決して安い労働力として採用するのではなく、細かい目標を与えながら一緒に給与を上げていこうね、と伴走することが理想的です。


1人ぼっちにさせずにコミュニケーションをしっかりとる

ベトナム人は学生寮に入るときに、なんと10人前後の大部屋に入ることが多いそうです。

また、人懐っこくおしゃべりな性格とも言われているため、1人ぼっちの生活よりも、大人数でコミュニケーションをとれることを好むようです。

ベトナム人でなくとも、見ず知らずの土地で言葉が完全に通じなければストレスはたまります。

日々のコミュニケーションをしっかりと取り、寂しい思いをさせないように心がけてください。

まとめ

ベトナム人の文化・仕事観・人柄をしっかり理解して、一緒に働く上での準備をしましょう。

繰り返しになりますが、ベトナム人の性格は千差万別ですので、1人1人のベトナム人応募者に向き合って、ていねいにコミュニケーションをとってくださいね。

外国人雇用の注意点/外国人から応募が来たら必ずチェックすべきこと【労務手続きまとめ】

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【特定技能の宿泊業分野で22,000人受入れ】ホテル・旅館業と特定技能 ※280名合格

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